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August 08, 2005
『IFIP8.2 @ Cleveland』

先週金曜日にアメリカ出張から帰還。いまだ若干時差ボケ気味。年々長距離の飛行機旅行が体にキツくなる。帰りは乗り換えも含めて20時間近くかかった。しばらく飛行は乗りたくない気分・・・。

今回の出張目的は、IFIP8.2 Working Conferenceという学会での論文発表がメイン。このIFIP8.2という不思議な名前の学会(というより研究会といったほうが正しい)は、Internatinal Federation for Information Processingという情報通信系の国際学術団体のなかにある"Interaction of Information Systems and the Organization"というテーマに基づく研究組織である。

僕の研究分野で一番大きな国際学会と言えばICIS (International Conference on Information Systems)になるわけだが、毎年全世界から1,000人を超える参加者が集まる学会なので、ある種「巨大イベント化」してしまって、本来の研究面での情報交換や緊密な連携などはできにくい。それに比べて、このIFIP8.2はアクティブに参加している研究者は100名程度なのだが、そのメンバーが全員この分野の第一人者ばかりで、しかも少人数なので極めてフレンドリーな雰囲気な集まりになっている。

今回僕はこの学会に初めて参加したのだが、顔見知りもたくさんいて、とてもリラックスした気持ちで馴染めた。さらに、今回は僕のsupervisorであるCarsten Sorensenと、博士論文の審査をしてくれたKalle Lyytinenがチェアーの開催で、またまたさらに今回のテーマが"Designing Ubiquitous Information Environments"と僕の研究関心とドンピシャだったため、参加しないわけにはいかなかった。

開催地は、Kalleが所属しているCase Western Reserve UniversityWeatherhead School of Management。場所はアメリカ五大湖のひとつエリー湖に面したオハイオ州クリーブランドにある。

僕はもちろんこの地は初めての訪問だったわけだが、正直あんまり雰囲気は良くない街だなと思った。クリーブランドはデトロイトと共に70・80年代の重工業産業の衰退による経済不況の波にドップリ飲まれて失業に苦しんだ街として有名だが、近年はその復興目覚しいとの話は聞いていた。だが、それにしても、僕の目にはあまり元気のある街という雰囲気は伝わってこなかった。また、夜はあまり治安が良くないようで、ホテルの人からもあまり一人で出歩くなと言われた。まあ、これでも一時期よりはだいぶマシになったんだろうなぁと思いながらも、正直もう一度来たいとはあまり積極的には思えない街ではあった。

とはいっても、今回訪れたWeatherhead School of Managementは全米ランキング30位前後の中堅ビジネススクールで、僕の専門分野(Information Systems)に関しては全米有数のリサーチスタッフを抱えているので、個人的には今回の訪問は楽しみにしていた。で、実際に来てみてまずビックリしたのは、先鋭的な大学建築物として全米でも有名なPeter B. Lewis Building。その異様さ、もといインパクトは僕の予想を大きく超えていた。内部の実際の使い勝手はどうか分からないが、外見のインパクトは十分すぎるほど強い。一度見たら忘れないとはこのことを言うのだろう。

僕の発表に関しては、これまでの研究のまとめみたいな感じな内容だったので、僕的にはこれといってチャレンジングなものではなかったのだけど、いろいろと質問やコメントなどをもらって、とても有意義な発表になった。

それよりも、今回参加して心底良かったと思ったのは、2人のキーノートスピーカーだった。まず初日のキーノートスピーカーは、僕も何度かこのBlogで紹介したThomas W. Malone。僕は留学初期に彼のcoordination theoryやe-lance economyに関する論文を読んだのが、その後の博士過程に進む大きなきっかけとなった。その意味で、僕は彼のbig fanで、その彼に会って話を聞けたのは今回の大きな収穫(というかご褒美)だった。お決まりの「Are you happy?」から始まるスピーチ。う~ん、たまらない。けど、ほんとに「Are you happy?」って言うとは思わなかった・・・。彼の研究内容をほぼ全て押さえている僕にとって、スピーチの内容は目新しいものはほとんど無かったが、僕としては彼の話を聞けただけで大満足。

もう一人のキーノートスピーカーは、これまた僕の研究に大きな影響を与えたPaul Dourish。もともと彼はcomputer scientistだが、ハイデッガーなどの存在論を基にした人間間、そして人間とコンピュータ間のインタラクション分析で、若くしてCSCW (Computer Supported Cooperative Work)やHCI (Human-Computer Interaction)の分野の著名研究者となった。彼の近年の研究はかなり思弁的なので、好き嫌いも分かれるとは思うけど、博士課程在籍中に読んだ彼の著作「Where the Action is?」に僕は強い影響を受けた。そんな彼の今回のスピーチもかなり思弁的だったけど、いろんなことを考えさせられる刺激的な内容だった。こちらも大満足。

さらに今回の大きな収穫は、2人の韓国人研究者と今後の共同研究の話がスタートしたことだろう。一人は今回CarstenとKalleと共にチェアーだったYoungjin Yooで、彼が編集するアジアのモバイル産業とそのビジネスインパクトに関する本への章執筆の話が決まった。そしてもう一人、Heejin LeeとはTime-space transformation in ICT useに関する共同研究を始めようということになった。このような共同研究の話が盛んに始まるのも、このIFIP8.2という学会特有のメンバーの緊密さのなせる業だろう。

というわけで、クリーブランドへの長旅はもうウンザリといった感じだったけど、その甲斐あって収穫はとても大きかった。来年のIFIP8.2 Conferenceはアイルランドでの開催でできればまた参加したいのだけど、テーマがちょっと難しいなぁ。うむむ・・・、要検討。

とにかく、これでこの夏の大仕事のひとつだった学会発表が終わった。そろそろ世の中はお盆休みに向けてお休みモードに入りつつあるけど、僕の夏はまだまだこれから。実はちょっと体調を崩し気味なのだが、心も体も英気を養ってまた頑張らねば。夏バテなんか言ってられません。ではまた。

Posted by MK @ 03:14 PM
Category : Research



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