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August 24, 2005
『デスクトップ検索とアテンション・エコノミー』

僕も含め、ネットに関連したビジネスや研究をしている人間にとって、検索エンジンサービス会社のGoogleのビジネス展開は、中学生にとっての人気アイドルタレントのように、熱烈な追っかけの対象になっている。この分野に身を置く者として、Googleの動きからはやはり目を離すことはできない。

そのGoogleが現在積極的に展開しているのがPCのデスクトップ(ディスプレイ画面)上に表示させる「デスクトップ検索ツール」サービスだ。このたび、その新しいバージョンである「Google Desktop 2」のβ版が公開された(現時点では英語版のみ)。

このテスクトップ検索というのは、小さなプラグインソフトをインストールして、自分のPC上に保存している各種ファイルからネット上の情報まで自由に検索できるようにするほか、メールの確認、スケジュール管理、リアルタイム情報の受信など、ユーザーのデスクトップ上の使い勝手をうまくパーソナライズしてくれる。Googleはこのテスクトップ検索ツールの展開では昨年10月に大手ウェブ企業では一番早く展開を始めたが、現時点でのアメリカにおける普及では「Yahoo!ツールバー」の後塵を拝しているようだ。

けど、今回の新しいGoogle Desktop 2はなかなか素晴らしい。特に、画面横に表示されるサイドバーには、メールの通知機能、To Doリスト、ニュースヘッドラインの表示、気象情報、株価情報、RSSフィード機能など、様々なものを追加・編集できる。僕の画面デスクトップには、To Doリストや時計・カレンダーなどを表示させるソフトをそれぞれ別々に入れているので、これを全て統一できることになる。使い勝手も良さそうだ。

この画面上のデスクトップのユーザーインターフェースは、これまでOS(WindowsやMac OSなど)が機能提供する領域だったが、ここにGoogleやYahoo!などネットサービス会社が「殴りこみ」をかけるように進出してきている。もちろん、Microsoftも「MSNサーチツールバー」を開発・公開し猛追しており、また次期Windows OSのWindows Vistaでは、上記したサイドバーのようなものが標準装備されるらしい。

いまや僕らの目の前にあるPCのディスプレイ上では、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークが複雑に絡み合いながら、ひとつの使用環境を実現している。この融合が益々進むことで、求める情報や機能がローカル(自分のPC内)にあるのか、グローバル(ネットワーク上)にあるのかなど気にする必要もなくなってくるのだろう。1980年代の創業時からSun Microsystemsが使っている「The network is the computer」というスローガンがいまや現実になりつつある。

ただ、いくらハード、ソフト、ネットワークが融合されようとも、ユーザーの情報行動やニーズにうまくはまらないと、結局商品/サービスとして市場に流通しない。特に、それが特殊な高機能ソフトウェアや先鋭的なウェブサービスではなく、日常的に使用するコモディティ(日用品)であれば、なおさらユーザーの利用パターンの「すきま」にうまく入り込まなければならない。

この意味で、画面上のデスクトップは、PCを使う上で定常的にユーザーの目に触れる場所であり、まさにこのスペースの奪い合いとして、Google、Yahoo!、MSという三大ネット企業がガチンコで戦っているのである。

結局のところ、ネット系に限らず、コモディティ商品/サービス市場では、生活者の3つの有限な資源の奪い合いが行われていると言える。すなわち、

 (1) 生活者の「おサイフ」をめぐる競争
 (2) 生活者の「空き時間」をめぐる競争
 (3) 生活者の「気付き」をめぐる競争

上2つはこれまでも自明のことである。限りある可処分所得をどのようなニーズ充足に割り当てるのか、また、1日24時間のなかで、どの時間のすきまで利用するのか、どの時間を減らして新しい時間を作るのか、日々生活者は悩んでいる。そして、それに対してコモディティ商品/サービス提供者は、その限りある生活者の「おサイフ」と「空き時間」をめぐって、熾烈な競争をするわけである。

さらに、今回のトピックに一番関連が深いのが、3つ目の生活者の「気付き」をめぐる競争である。産業社会の発展とともに世の中にモノが溢れるようになったのと同様、情報社会の進展により情報も溢れるようになった。毎日の生活で僕たちは、必要な情報もそうでない情報も、浴びるように受け続けている。現代の生活空間では、さまざまな情報が望まなくとも「プッシュ」されてくる。それに比べて、人間の認知能力、特に情報処理能力は一向に伸びないし、今後も伸びることはないだろう。その結果、人間が認知・処理できる情報は、世の中に溢れている情報の渦のほんのごく一部にしか過ぎなくなる。

というわけで、限界がある人間の認知能力=「気付き」をめぐって、情報ベースの商品/サービス市場は極めて熾烈な戦いがあるのである。こうした競争環境のことを、Davenportらは、「アテンション・エコノミー(認知の経済)」と呼んだ。

いままさにPCディスプレイ上のデスクトップは「アテンション・エコノミー」の戦いの舞台となっていることが良く分かる。資源に希少性があれば、そこにはおのずと市場が現れ、それをめぐる経済が出来上がる。PCユーザーの希少な認知能力をめぐって、デスクトップ上では、様々な情報が「認知されよう」と迫ってくる。

パッケージソフトウェア販売で大部分の収益が成り立つMSはウェブ上の商品/サービスの収益性などあまり気にしなくてもよいが、アクセス数に強く依存するウェブ広告料収入が収益の核となっているY!やGは、こうしたユーザーの認知獲得競争は、ビジネスの根幹といっても言い過ぎではない。ユーザーが目的ベースに利用する「コンテンツ」という競争の場とともに、その背景としての「デスクトップ」も競争の場となったのである。

このデスクトップ上の認知獲得競争は、ユーザーの情報ニーズ充足と、インターフェースのユーザビリティ確保が危ういバランスで成り立っている。デスクトップ上が遠慮を知らないプッシュ情報で溢れてしまうと、使い勝手はすこぶる悪くなる。逆に情報がまったくプッシュされてこないテスクトップというのも、静かだが味気ないものだろうし、ユーザーの潜在的な情報ニーズはまったく満たされない。

先日参加してきた学会でキーノートスピーチを行ったPaul Dourishは、そのスピーチのなかで「様々な空間と同様、人間とコンピュータのインターフェースはinformativeでなければならない」と言っていた。ここで彼が言う「informative」の意味を日本語に訳するのは難しいが、「単に情報として読まれたり処理されたりするのではなく、意味あるものとして経験されること(experienced as meaningful, not read or processed as information)」がinformativeということらしい。認知科学分野のアフォーダンス理論の考え方に近いと思われるが、人間の日々の実践(everyday practice)をより意識した概念化だと感じた。

まあとにかく、今回Google Desktop 2の公開で考えさせられたのは、「適度にinformative」な情報環境とはどのようなものなのか、またそうした環境を実現するツールやサービスとはどのようなものなのか、さらにはそこにどのようなビジネスモデルを絡めるのか、などということである。もちろんこうした問いかけに対して、答えなんてそうそう簡単に出るものではないが、巨大ソフトウェア会社、巨大ポータル会社、巨大検索エンジン会社ががっぷり四つに組んで争うデスクトップ検索市場において、そうした情報利便性とユーザビリティの両立の問題、そしてそこに絡む経済原理の問題が見え隠れするのである。

テスクトップ検索に限らず、様々なウェブ関連商品/サービス市場おいて、アテンション・エコノミーにおける競争はますます熾烈になっていくことだろう。テレビ等のマス媒体が広告主に宣伝の場所と時間の「枠」を切り売りするように、僕たちネットユーザーも自分たちの希少な認知の「枠」をどのように切り売りするのか、ゆくゆく考えなくてはいけなくなるのかもしれない。

僕個人としては、一ユーザーとしても、一研究者としても、いまはとにかく試行錯誤しながら自分なりの「informativeな情報環境」をつくり、それを身を持って「経験」していくしかないと思っている。というわけで、僕が今回Google Desktop 2を使い始めてみる長い長い理由と屁理屈でした。

Posted by MK @ 01:04 AM
Category : E-biz news



コメント

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Linteret du forum est precisement de susciter un debat parmi les citoyens pour que le budget et les choix quil sous-tend soient places au c?ur du debat public. Un budget, ce sont des choix. Des choix supposent des priorites.

Posted by: big ass : January 12, 2007 11:08 PM

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Pour les 9 premiers mois de lannee, le chiffre daffaires des echanges commerciaux entre les deux pays seleve a 80 millions de dollars, accusant une hausse de 20 % pour les exportations bulgares vers Israel et de 10 % des importations en provenance dIsrael. (BTA).

Posted by: alpina : September 30, 2007 09:45 PM


 
     

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