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February 28, 2006
『束の間のシーズン』
先日久しぶりに昔の職場に顔を出したときに、当時の上司に「お前、ブログ書いてんだって?」と聞かれて、「ハイ、ただし月1~2回しか更新してないんですけど・・・」と答えると、「お前、それブログって言わねーだろ」と素で突っ込まれて、まったくその通りだと納得してしまった今日この頃。そのブログも、今日書かないと2月はエントリー無しの月になってしまうので、とにかく何か書いてみる。そんないい加減なブログで本当に申し訳ない。 そんなバタバタした毎日だが、それもそのはず。今は1年のなかで研究に専念できる貴重な時期だからだ。1年を通じて、自分の研究に集中的に時間と労力を投入できるのは、8~9月と2月中旬~3月中旬の計3ヶ月だけである。平たくいえば、学生の休みの期間(夏休みと春休み)が大学研究者としてのあまりに短い束の間のシーズンなのである。いまこの時期に研究をせずにいつするのか、というわけで僕も可能な限りの予定をいま詰め込んでいる。 先週は週末まで東京に滞在して、いくつかの企業訪問とネット業界関係者に対するヒアリングに行ってきた。これまでも少なくとも2ヶ月に一度は東京に出かけて情報収集と業界ネットワーキングを続けてきているが、こういったビジネスの最前線にいる方々とお話をするときが、実は一番ドキドキ・ワクワクする瞬間である。 今回もたくさんの方々にお会いしてきたが、それに合わせて2つのイベントにも参加してきた。 ●世界情報通信サミット まず2/23に東京国際フォーラムで開催された「世界情報通信サミット2006」に打ち合わせの合間をぬって行ってきた。テーマは「デジタル・ワークモデル」。これは僕が留学時代がやっているテーマなので、やっぱり気になって見に行ってみることにした。 キーノートスピーチは、このブログを以前から読んでくれている人にはお馴染みMITのトーマス・マローン教授。一昨年「フューチャー・オブ・ワーク」という本を出して、日本でも彼の名は一気に広まった。僕も英語原本の書評をいち早くこのブログに載せて紹介した。彼に会うのは去年8月に米クリーブランドであったカンファレンス以来だ。けど、今回は彼も忙しそうで声をかけられなかったのは残念。 相変わらず彼のスピーチは「Are you happy?」から始まった。まだこれやってんだ、なんて苦笑しながら聞き流す。内容はもう既にぜんぶ知っている話ばかり。けど、やっぱり彼のプレゼンは余裕があってゆったりしていて、とっても聞きやすい。彼のスピーチを受けて、最初のセッションでは國領二郎氏@慶應がカウンターの問題提起をして議論を盛り上げる。「組織の分権化とフラット化が必ずしも意思決定の効率化を実現するわけではなく、ある程度の制約条件があったほうが効率的/効果的な場合もある」との指摘はまったくその通り。けど、國領氏のおかげでせっかく議論の対立軸がはっきりしたのに、その後のパネリストたちの議論が全然広がらなくてガッカリ。 ランチタイムを挟んで、午後一のセッションは、技術インフラをテーマにした議論が進んだ。このセッションは非常に面白かった。僕自身が技術のコアな領域にあまり明るくないのもあるが、それでも紹介された各事例は極めて興味深いものばかりだった。音楽・映像配信サービスのReal Networks、家庭テレビの音声・映像をケータイから視聴できるようにするサービスを提供するSling Media、日本でもかなり普及が進んでいるIP電話サービスのSkype、そして日本からはPHSで音声定額サービスを提供するウィルコム。それぞれがいま展開するサービスと今後の戦略を紹介した。特に、ウィルコム、Skype、Sling Mediaの各サービスは、既存同業プレーヤーの収益構造を粉々に砕いてしまう可能性を秘めており、そんなことを想像するだけでいろんな意味でゾクゾクしてくる。 夕方の打ち合わせが入っていたので、このセッション終了時に失礼させてもらった。この「世界情報通信サミット」は日本経済新聞社が毎年この時期に開催しているイベントだが、一昨年にも僕は参加させてもらってその時との比較になるが、今回はパネリスト同士のディスカッションが有意義なかたちではまったく盛り上がらなかったのがとても残念だった。 ●Emerging Technology 研究会 もうひとつ今回参加したイベントは、2/25に開かれたEmerging Technology研究会。今回はたまたま東京出張のスケジュールが合ったため、迷うことなく参加を決めた。今回のテーマはちょっと難しくて「サーチエコノミー/アテンションエコノミー試論」。議論の入り口としてエンタープライズサーチが取り上げられた。事例としても扱われたエンタープライズサーチのソリューション・サービス企業であるウチダスペクトラムの長尾唱氏も今回ゲストとして参加されていた。 今回のテーマは、ほんと難しかった。サーチという技術やサービスそのものはさして難しくないのだが、それが人間の認知メカニズムやメディア行動なんかのトピックが絡んでくると、いっきに議論の領域設定がぼやけてしまい、議論の対象を見失ってしまいそうになる。主催の渡辺聡氏もその点を気にされているようだったが、敢えて領域設定せずにフリーで討議を進めていくということになり、それはそれで活発な議論ができたので非常に良かったと思う。 アテンション、すなわち人間の認知は希少な資源である。デジタル化とネットワーク化により情報の流通量がいくら増えようとも、人間のアテンションは一向に増えない。そうなると、膨大な情報量を圧縮し、それを自分の意図に繋げるような工夫が必要になる。研究会での議論はアテンションを巡ってぐるぐる回ってしまい、結果的に議論の落とし所が見えないまま時間終了となってしまった。 この点については、この議論の出口はアテンションではないのではないかと思う。では、それが何かというと、アテンションから一歩進んで、そこから実際の行動に繋げようとする人間の「意図=インテンション」にあるのではないか。そんなことを前日にランチを一緒にしたタカヒロノリヒコ氏@Googleが言っていた。その通りだと思う。各種の技術やサービスで人間の情報処理能力がいくら拡大されようとも、それで得た情報が自分の目的にしっかりと合致しているかどうかはまた別問題である。それは、単に「サーチ」という概念にとどまらない、いうなれば「情報の最適化(information optimazation)」とでも言うべき機能やサービスのことを、これからもっと考えていかなければいけないのではないかと考えさせられた研究会だった。 主催の渡辺さん、参加者の皆さん、今回もとっても楽しかったです。いつもながら感謝です。 ++++++++++ これが今回東京で参加してきたイベント2本。これ以外にも今回はたくさんの人に会ってきた。しかし、ここで書き始めるとまたキリがなくなるのでやめておく。お世話になった方々、ありがとうございました。 とにかく今は自分の研究に精を出す時期。また春になって新学期が始まるまでに、やることはまだまだたくさんあるけど、そんななかでもこのブログも少なくとも週1回ぐらいは更新するようにしたいなぁ・・・。けど、ムリっぽいなぁ・・・、と既に諦めモード。そんなこのブログを今後ともよろしくお願いします。 Posted by MK @ 11:51 PMCategory : Research |
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