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May 28, 2006
『刺激と喧噪の街、上海。』
5/19から5/22まで、上海に行ってきた。観光で、と言いたいところだが、もちろん仕事でである。International Conference on Software Engineeringという学会で論文発表するための出張である。 この学会は、その名の通りソフトウェア工学の分野における世界最大の学会なのだが、僕は今回初めて参加したのだが、結構僕的には「越境」した感がある。と言うのも、僕の専門分野である情報システム論(または経営情報システム論)は、このソフトウェア工学の領域と隣接しているのだが、実はこの両分野間の研究の交流はこれまで皆無に等しいからだ。 情報システム論のなかでソフトウェアのことを扱った研究は多いし、また同様にソフトウェア工学の領域で情報システムのことを扱った研究も少なくない。なのに、この両分野の断絶は深刻である。いま僕はソフトウェア・ビジネスに関する研究を進めているのだが、この両研究分野の断絶は非常に辛い。ある研究や文献は情報システム論の領域に、また別の研究や文献はソフトウェア工学の領域に、という感じで、関連深い既存研究が両分野にまたがって存在しているからだ。また、自分のなかの研究アイディアをどちらの研究コミュニティに向かって投げかければ良いのか、これもまた悩みどころである。 しかし、僕みたいにこの断絶を不可解に思う研究者は当然ほかにもいるわけで、今回僕が参加したワークショップ、WISER (2nd International Workshop on Interdisciplinary Software Engineering Research)は、まさに学際的な視座からソフトウェアを扱おうとする研究者が集まる場であった。僕は、いま進めているソフトウェア開発戦略の研究についての発表をしたのだが、かなりビジネス寄りの話をしたにもかかわらず、それなりに好意的に受け入れられたようで、発表後もいろんな人からいろんな意見や助言を頂いた。特に、その日ずっと隣に座っていたDr. Yunwen Yeとはいろんな話をさせてもらった。 実を言うと、僕はこれまで国内ですらソフトウェア工学のコミュニティに一度も参加したことがなかったので、ソフトウェア工学の人たちに自分の研究がどのように受け入れられるか正直かなりドキドキしていた。しかし、少なくとも僕の研究に関心を持ってくれる人がソフトウェア工学の分野にも存在することが分かっただけでも、今回参加して本当に良かったと思う。 さて、研究の話はこれぐらいにして、今回訪れた上海という街についても少し書いておきたい。実は僕は上海どころか、中国そのものが今回初めてだった。というか、日本以外のアジアの国に行ったことすらなかった。こんなアジア超初心者の僕には、上海という街は刺激が強すぎた。 一つ目は言葉の問題。なにせ英語がまったく通じないのだ。空港ぐらいはなんとか通じるだろうと思っていた僕が甘かった。なんとかタクシー乗り場を見つけ、乗り込んでみたものの、運転手がこれまた英語がまったく通じない。ホテルまでの行き方が書いてある英語の地図を見せてもまったく読めない(というか読んでくれない)。なんとか漢字の住所を見せてようやく行き先を分かってもらう。上海で一番有名なホテルのうちの一つを予約しておいて本当に良かった。 二つ目は車の運転の激しさ。ようやく行き先を理解してもらって走り始めたタクシーが飛ばす飛ばす。アクション映画のワンシーンかと思うほど車の間を大胆にすり抜ける運転手のテクに脱帽。さらに市街地に入ると、今度はクラクションの連打。ちょっとでも近寄ってくる車や前でつかえている車があるとすぐにクラクションを鳴らす。なので、ハンドルを握る手の親指は常にクラクションの上に載せてある。恐るべし。これがこのタクシーだけが特別なのではなく、路上のすべての車がクラクション連打しまくりなのだ。上海では車のクラクションはもはや挨拶程度の意味しかないらしい。 三つ目は、そんな激しい運転の車にまったく負けていない歩行者の度胸。上海の道路には、かなり道幅の広く車の交通量も多いところの横断歩道でも歩行者用の信号がついていないところが多い。そうなると歩行者はタイミングを見計らって気合いでエイヤっと渡るほかないのだが、それでも迫り来る車に激しくクラクションを鳴らされる。ここで日本人の感覚では完全にビビってしまうのだが、上海の人は眉ひとつ動かさず、悪びれもせずに堂々と渡っていくのだ。あの度胸は賞賛するほかない。 四つ目は、高層ビルの工事ラッシュ。香港に追いつけ追い越せで、近年急速に都市開発が進む上海だが、超高層のビルやホテルが所狭しと連なっている。さらに、いま建設中のところも至る所にある。上海市のGDP成長率は92年からずっと二桁成長を続けてきているが、2004年は13.6%と近年で最高の伸びとなっている。これまで数字でしか理解していなかったGDP成長率二桁という街の現実を目の当たりにすると、なんとも言えない刺激と圧迫を受ける。 まだまだ他にもいろんな感想を書けるのだが、このへんにしておこう。少々ネガティブな印象を述べてしまったかも知れないが、全体的にはとても楽しい滞在だった。特にご飯に関しては、上海通の同僚の先生に事前においしいレストランを聞いていったので、どこもハズレなくとても美味しい食事を毎晩頂けた。また日本からたった2時間で行けて時差も1時間しかないので、その点ではとても体に楽な出張だった。 ただ、なにせ今回は初めてづくしの上海出張だったので、多少面食らってしまっただけなのだと思う。今度はぜひ北京や香港にも行ってみたい。けど・・・、上海はもういいかな(小声)。 Posted by MK @ 11:51 PMCategory : Research |
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