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February 03, 2008
『Microsoft + Yahoo! 雑感』
しばらくぶりに別のテーマでエントリーを書こうと思っていた矢先のBreaking news。MicrosoftがYahoo! Inc.に対して買収提案を行ったとのこと。まぁ、やっぱり少しはこのことにも触れておかないといけないと思い、自分のメモのためにも雑感を述べておこうと思う。 スケール、タイミング、スキーム、様々な面から見ても、今回のMSが「本気」なのは明らか。MicrosoftがYahoo!に興味を持っており買収も検討しているというのは一昨年から言われていたことだが、これまではその動きがはっきりと表沙汰になることはなかったし、あくまでも噂の域を出ていなかった。 しかし、今回はMicrosoft自らYahoo!に送った買収の提案状を公開し、週末の朝だというのにすぐさまプレス発表まで行った。さらにこの日、CEOのSteve BallmerはMicrosoftの全社員に対して、この買収提案の成功に強い自信を持っていることをはっきりと示すメールを送っている。 今回のMicrosoftのYahoo!に対する公開買収提案は、Yahoo!が1/29に減益の四半期決算と1000人規模のレイオフを発表した直後のタイミングでここまで素早く且つ大胆に動いたということで、いかに綿密に練られた計画と周到な準備に基づいているかということを如実に表している。 日米双方のネット上のこれまでの議論では、「買収成立の可能性高し」といった意見が大多数のようだ。その根拠としては、ファイナンス面と事業シナジー面の2つがある。 まず、ファイナンス面からの買収賛成/容認根拠は、「あそこまで高いプレミアム(1/31のYahoo!の株価の1.62倍の価格=1株31ドルでの買収提案)を見せられたらYahoo!も無視できないし、Yahoo!の株主利益を考えれば、Microsoftの提案を飲まざるを得ないだろう」といういたって現実的なものである。 また、事業シナジー(相乗効果)の面からも、かなり大きなメリットが期待できるというのも買収賛成/容認論の根拠のひとつとなっている。もちろん既存サービスの重複も多いのだが、それでもYahoo!とMSNの顧客ベースが一緒になるスケールメリットと、インフラ共有によるコストメリットは極めて大きいだろう。 懸念材料としては、やはり明らかな企業文化の違いが挙げられている(参考(1)(2))。シリコンバレーのIT企業の代名詞のひとつであるYahoo!の人々にとって、この買収提案を飲むということは「Microsoft帝国の軍門に下る」というような意味さえ持つのは想像に難くない。 このMicrosoftのYahoo!に対する買収提案は、これから1〜2ヶ月のうちに急速に進展するだろうから、いま現時点で予測や評価をしても仕方がないが、僕としてはこの一件を比較的ポジティブに捉えている。 僕はGoogleという企業をこれ以上とないほど高く評価しているが、やはり一強体制はいろんな意味でよろしくないとも思うので、その対抗馬としてMicrosoft+Yahoo!がしっかりと機能するのであれば、一ユーザーとしては良いことだと思っている。 日本のヤフー(Yahoo! JAPAN)は、米Yahoo!ではなくソフトバンクが筆頭株主なので、今回のアメリカでの買収問題がすぐさま大きな影響を与えるわけではないのだが、もし本国でMicrosoft+Yahoo!が実現すれば、遅かれ早かれ日本国内のマイクロソフトとヤフーの協働も必然的に検討され実施されていくことになるのだろう。 Microsoft+Yahoo!の具体的な施策としては、やはり、 ・Microsoftのウェブブラウザー(IE)の初期画面がYahoo!になる などがすぐに頭に思い浮かぶし、それらの事業的可能性は極めて大きいと思う(MSNとYahoo!ブランドの混在した合体だけは勘弁してもらいたい!!)。さらにソフトウェア開発、サービス開発レベルで、もっとつっこんだ協働もいろいろと可能だろう。特に、エンジニアや研究者の間での情報交換や知識共有が、また新たなイノベーションを生むことも考えられる。 だが、Yahoo!が今回のMicrosoftからの提案を却下し、独立独歩路線を維持するという選択肢もまだわずかながら残っているとは思う。 せっかちな株主や投資家からのプレッシャーもかなり高まってくると思われるので、いまのままの独立路線は容認できないという意見も多い。しかし、昨年Yahoo!が発表した数々の動き、特に大型買収案件(自動ネット広告取引所のRight Media、オンライン広告ネットワークのBlueLithium、コラボレーションソフトのZimbra)は、苦しみながらも次の成長へと足を進め始めたYahoo!の力強さのようなものを感じさせてくれていた。また、次期Yahoo! Musicには、相当画期的な音楽サービスが用意されているとの噂もあり、僕としてはかなり期待していた。 せめてあと1年、Yahoo!のCEOのJerry Yangに時間を与えてあげられたら、もしかしたらYahoo!は単独でもしっかりと復活できるかもしれない。そう思える部分も多々あるのだが、そんな淡い思いを吹き飛ばすかのような今回のMicrosoftの買収提案である。5兆円近い手持ち資金を持って大胆且つ冷徹な力技で押し切ろうとする企業が他にどこにあろうか。その手法に疑問を感じるちょっと前まで中の人だった大物もいるのがさらに興味深い。 やっぱりこんなダイナミックな企業戦略や産業変化を生々しく見せてくれるIT/ネットの世界って、ほんとにおもしろい。とにかく、いまはこのドキドキ・ワクワク感を噛み締めながら、動向を静観していこうと思う。
・「MS敵対買収に発展か ヤフー側には毒薬条項あり」
・「ラウンドアップ:マイクロソフト、米ヤフーに買収提案--その時グーグルは?」
・「CNET Japan: MSのYahoo買収は実現するか、Googleへの勝算は?」 Category : E-biz news |
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