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June 23, 2004
『企業訪問いろいろ』

先週末の学会参加に絡めて、いくつかの企業を訪問して、いろんな話を聞いてきた。

まず、凸版印刷。凸版印刷といえば、当然ながら印刷会社ではあるのだが、それだけにとどまらず、現在はエレクトロニクス分野、証券・カード分野、Eビジネス分野など、その業務内容は極めて多角化している。

僕が今回話しを聞きに行ったのは、もちろん同社のEビジネス分野での取り組みについてで、Eビジネス事業部の岡戸成夫部長に会いに行った。同社は近年RFID(非接触型自動認識技術)を商品タグやカードに利用したRFタグ事業を拡大しようとしているので、ここらへんを中心を色々とお話を伺った。

次に訪問したのは、化粧品の口コミ評価サイト「アットコスメ」を運営するアイスタイル。社長の吉松徹郎氏には以前にも何度かお話を聞かせてもらったのだが、オフィスが渋谷から乃木坂に移ってからはお会いするのは初めて。僕の大好きなラーメン屋「天鳳」がすぐそばなので、我慢できずに一杯食べてからオフィスに伺った。

アットコスメは、ネットビジネス界では知らない人はいないくらにい有名になってしまった。それは、ネットで消費者のコミュニティを作って、それを元にビジネスを展開しようという試みはこれまで星の数ほどあったが、継続的な収益モデルをまともに築けた企業は極めて少なく、アットコスメはその数少ないうちの一つだからだ。

吉松氏とはアットコスメの今後の計画なども話したが、それよりも最近のネットビジネスの動向についての話のほうが刺激的だった。検索エンジンビジネス、GREE.jpをはじめとしたソーシャルネットワーキングサービス、ウェブにおける情報流通のメカニズム、などなど・・・。あまりに刺激的過ぎて、こんなとこには書けない(笑)。

吉松氏に会った同じ日、その次に訪問したのは、産業廃棄物の電子取引市場を運営するリサイクルワン。廃棄物を排出する企業のニーズと、廃棄物の処理業者のニーズをネットでマッチングしてあげるというシンプルなサービスなのだが、それをベースにしながら現在では企業の環境対策に関する様々なコンサルティング事業も行っている。

この企業のビジネスモデルには以前から興味を持っていたので、社長の木南陽介氏にお話を伺った。何より印象的だったのは、この木南氏が僕よりも若いこと、ではなく、お世辞にもクリーンとは到底言えない産廃処理の世界に、ネットを使った明確なサービスとビジネスモデルを導入することに成功したことだ。

産廃処理業者への営業や交渉は、木南氏自身が直接足を運んで臨んだそうだが、大変な思いや経験も色々とされただろう。そうした苦労は木南氏の冷静沈着な語り口からは断片的にすら感じられないが、想像に難くない。素直に尊敬するほかない。

今回はこの3社3名以外にも、個人的に何人かオモシロイ人に会ってきた。なかでも、博報堂DYメディア・パートナーズ高広伯彦氏とお会いできたのは大きな収穫だった。

高広氏が手がけたウェブシネマ広告は、東京インタラクティブ・アド・アワードを今年受賞している。このニュースで僕は高広氏のことを知ったのだが、氏のことをウェブで調べてみたら、関学のOBであることが判明。しかも、僕のちょっと上の先輩だった。同じ時期に同じキャンパスにいたなんてことが分かれば、それゃあすぐにお目にかからなきゃというわけで、連絡とって会わせて頂いた。

ウェブを使ったインタラクティブ広告は、いままさに拡大しつつある新しい広告分野だが、高広氏は単なる実務オンリーの人ではなく、大学院でメディア論をしっかりと勉強されている方で、お話も含蓄深い。今回はひとまず軽くご挨拶だけということだったが、ぜひ近いうちにまたお会いして、ゆっくりとお話してみたいと思った。

とまあ、こんな感じで、今回の東京出張では、いろんな実務家の方々に会ってきたわけだが、こうしてみると自分が世の中の最新の動きからいかに遅れてしまっているかがよく分かる。特に、ITがらみの世界は変化が激しいので、こうやって定期的に企業訪問をしていないと、すぐに浦島太郎状態になってしまう。気をつけねばと思う今日この頃でございます。

Posted by MK @ 09:34 PM
Category : Meeting
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June 22, 2004
『組織学会@東大』

先週末に東京大学の本郷キャンパスであった組織学会2004年度研究発表大会に参加してきた。

いろんな人の発表を聞かせてもらったけど、特に印象にのこったのが、北九州市立大学の松本雄一氏の「組織における技能形成とその影響要因の考察」と、一橋大学の楠木健氏の「次元の見えない競争と戦略」の2つ。

まず、なんてったってお二人ともプレゼンがうまいうまい。まず、松本氏は関西人らしく軽妙なトークで、時折入れるボケが良い味出していた。内容は、Lave & Wengerの状況的行為論に依拠しながら、いくつかの企業組織における技能形成の話なのだが、本来とても難しい内容をシンプルな構図で説明されていて、リサーチデザインのうまさが感じられた。

楠木氏は、ケースディスカッション慣れしているようで、オーディエンスの反応をうまく掴みながら、発表内容に引き込んでいく。こちらは、最近流行り(過ぎ?)のアーキテクチャ論に企業戦略の話をうまく絡めた理論フレームワークのお話。近年は研究のスコープを非常に狭くとったガチガチの実証研究が多いなか、こうした新しい理論構築を目指す研究の意義はとても高いと思う。

松本氏は僕と同い歳、楠木氏は僕よりちょっと先輩の方だが、とても良い刺激になった。そろそろ僕も、海外の学会ばっかで発表せず、国内の学会で発表してみようかなぁ、なんてちょっと思ったりして。

++++++++++

<追記>

上で紹介した松本雄一氏のウェブサイト、オモシロ過ぎ。「雑記(Diary)」のセクションにこの学会での発表のことについて早速書かれていますが、キャラ良過ぎです。ぜひご一読あれ。トラックバックできないのが残念。今となっては、会場で松本氏にご挨拶しなかったのが非常に悔やまれる。今度お目にかかったときに必ずご挨拶しに行こっと。

Posted by MK @ 05:11 PM
Category : Research
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June 14, 2004
『みあこネット・シンポジウム@清水寺』

もう1週間以上前のことになってしまったが、忘れないうちにここに書いておきたい。

6月5日(土)に京都の清水寺でみあこネット主催のシンポジウム「ユビキタス社会における地域依存コンテンツの開発と市民メディアの可能性」が開かれ、僕も参加してきた。

みあこネットは市民の手で公衆無線インターネットインフラを作ろうというプロジェクトで、京都で2002年5月から実際に運営がスタートしている。世界的にも例を見ない草の根活動によるITインフラ整備事業ということで、その筋ではかなり有名。そのみあこネットの活動2周年を記念したのが、今回のシンポジウムである。

シンポジウムでは、地域依存型映像コンテンツのコンペの表彰式も兼ねており、受賞作が会場で流された。僕は、こうした映像コンテンツにはあまり詳しくないのだが、とりあえずマス・コミュニケーションを前提にした映像コンテンツではなく、場所限定的な市民メディアの可能性の片鱗は見えたような気がする。

僕が興味があったのは、その後の「日本のコンテンツ産業とその可能性と課題」と題されたパネル討論のほうだった。中村伊知哉氏@スタンフォード日本センターの進行で、竹村真一氏@京都造形芸術大学、藤川賢治氏@京都大学大学、渡辺敏幸氏@新風館、清水宏一氏@京都市、石戸奈々子氏@CANVASら、5名のパネリストによる討論が繰り広げられた。

まっ、要は、広義のコンテンツ産業を地域がどう開発・支援できるのかという話がされたのだが、「なかなか難しいなぁ」というのが正直な感想。新しい産業のテイクオフには、少なからず行政の後押しが必要だというのは間違っていないとは思うが、文化財のデジタルアーカイブの話にしろ、地域密着型コンテンツの開発の話にしろ、結局は極々少数の富裕層が趣味的にアーティストを保護・育成する伝統的なパトロネージュ方式の枠を出ていない。

月並みだが、やはりここで僕は「ビジネスモデル」的なアプローチを開発することが大切だと言いたい。コンテンツ制作が商業的に支えられてきたのはここ1~2世紀ぐらいだと思うが、だからといって、現代のコンテンツ産業の育成・発展を伝統的なパトロネージュ方式だけに依存する理由はない。現代には現代なりのコンテンツ産業育成のやり方があって然るべきだと思う。

今回のパネル討論には、ビジネスの側面からコンテンツ産業を語る人が一人も入っていなかったのが残念だった。このメンツではどうしても文化的・政策的側面の議論が中心になってしまうのは致し方ない(もちろん、面白い議論もたくさんあったが)。

なかでも、僕が一番納得いかなかったのが、質疑応答の際に参加の一人から、まさに僕が感じていたような「今回の議論におけるビジネスモデルの視点の欠落」の指摘があがったところ、複数のパネリストが「良いコンテンツさえ生まれてくれば、それに伴うお金儲けやアーティストに対する報酬の還元の仕組みは自然に生まれてくるので心配ない」というような趣旨の答えをしたことだった。

んなわきゃーない。だったら、今の音楽産業はどうなんだ、と。良い音楽コンテンツはいっぱいあるはずなのに、デジタル化の進展にともなって音楽業界のこれまでのお金儲けの仕組みや報酬還元の仕組みが崩れてきて、それを補うような新しい仕組みがまだできあがっていないじゃないか、と。コンテンツに対する課金の仕組みや著作権保護の仕組みなど、解決しないといけないハードルはいっぱいあるけど、良質のコンテンツさえ生まれていれば、そうした問題は待っていれば解決される・・・、か??? もっかい言うが、んなわけない。

・・・と、その場ですぐ反論しようと思ったが、なんとなんと時間切れで発言することができなかった。残念無念。けど、僕も明確な答えをもっているわけじゃないので、偉そうなことは言えんし(笑)。

けど、今僕のゼミの学生たちに課題でビジネスプランをたてさせているんだが、その中で、コンテンツ産業における新しいアーティスト支援のモデルに取り組んでいるグループもあって、なかなか面白い。基本のアイディアは、様々なファンドによるコンテンツ制作資金調達の仕組みと、ファン・コミュニティによるアーティストの草の根支援の併せ技なのだが、これをビジネスモデルとして具体化することに意味がある。請うご期待。

まあ、なんだかんだ文句は言うものの、とっとも刺激的な内容のシンポジウムだったことには違いない。会場もとってもステキなところで、事務局の皆様、本当にお疲れ様でした。

Posted by MK @ 09:51 PM
Category : Research
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