Home kakihara blog - archive Back

     
 
February 12, 2007
『本格化するクロスメディア・プロモーション:宇多田ヒカル"Flavor Of Life"』

あのヒッキーがまたやってくれた。そんな気持ちでいっぱいだ。って、前回と同じ出だしで申し訳ない。けど、ほんとにそんな思いである。



2/28に発売予定の宇多田ヒカルの新曲「Flavor Of Life」のPVが、期間限定(2/9/〜3/8)ではあるがフルで無料配信され、またそのブログパーツが公開された(この上のものがそれを埋め込んだもの)。このプログパーツを使えば、著作権侵害などややこしいことを全く気にせずに、堂々とPVの映像をブログにはめることができる。

例の人気テレビドラマの挿入歌として耳にしてから、僕の脳内ヘビーローテーションだったので、個人的に非常に嬉しいのだが、それ以上に、これはネット映像配信を使った本格的なクロスメディア・プロモーションの事例として後に幾度となく取り上げられることになるのではないかと思う。

宇多田ヒカルがネットをプロモーションに活用するのは今回が初めてではない。彼女は、2003年1月19日、彼女の20歳の誕生日を祝ってスタジオから彼女が出演する映像をライブストリーミングで流すという大規模なネットイベントを実施したことでも有名である。

当時はまだブロードバンドがそれほど普及していなかった頃だったが、Youtubeのおかけで今でこそ「当たり前」になったネットで映像を見るということをこの時期にライブストリーミング配信で実現し、実際にこの1日だけで100万を超えるアクセスをはじき出したという点で、初期のネットプロモーションの成功事例として広く認知されている。

そして今回、この「Flavor Of Life」という新曲のプロモーションにもネットが本格的に活用されている。しかもその仕掛けにはちょっと工夫がされている。

まず、1月5日のドラマ初回放映の劇中でこの曲が初めて一般に公開された。それと同時に「着うた」としてケータイで配信が開始され、1ヶ月で既に100万ダウンロードを稼ぎ出したそうだ。そして、今回のネットでの(正式且つ合法的な)フルPV視聴+プログバーツの公開だ。

 テレビでOA → ケータイで「着うた」配信
      → ネットでフルPV視聴 → CD発売

テレビで火をつけて、ケータイで煽り、ネットでダメ押しして、満を持してCD発売。恐らくその後はライブ活動へと繋がり、そしてDVD発売。一つ一つはまったく目新しくないが、それらが全体のプロモーション・パッケージとして体系化されている。これは僕の元同僚の井上哲浩氏が提唱している「オーガニック・マーケティング・コミュニケーション・ミックス」の一つなんだろうが、これを彼女クラスの超大物アーティストが本格的にやるとなると、やはり何とも感慨深いものがある。

国内の某著作権管理団体やコンテンツホルダーがこぞってYoutubeを目の敵にして、ネット上の映像配信にある一定の歯止めをかけようとしているなか、このように合法的にしっかりとネット映像配信をプロモーション手法として活用してくる事例は今後どんどん増えていくに違いない。

ただ、今回のネット上の映像配信プロモーションは、CDが発売されて間もなく終了するわけで、やはりまだ発売元としてはPVを無料でフル配信し続けることがCD販売を圧迫するリスクが怖いのだろう。

しかし、ネットでのPV視聴はCDを購入することのプラスのインセンティブにこそなれ、マイナスのインセンティブにはならないだろう。だって、この僕のブログで彼女のPVを見てCDを書おうと思う人はいても、ここでPVを見たからCDは買わないでおこうと思う人はいないだろうから(そもそも知らない人は買う訳もないのだから)。

というわけで、発売元の東芝EMIさんにはぜひともCD発売後もPVの無料フル視聴を続けてもらいたい。耳出しショートカットにしてますます僕好みになったヒッキーを僕のブログに貼り続けさせてください。何卒何卒よろしくお願い致します。・・・と、いくらここで主張しても聞いてもらえないんだろうなぁ。

Posted by MK @ 03:31 AM
Category : E-biz news
Permalink | Comments (4)


February 06, 2007
『支え、支えられるコミュニケーション:スラムダンク奨学金』

あの「スラムダンク」がまたやってくれた。そんな思いでいっぱいだ。少し遅ればせながらではあるがぜひ紹介したい。


スラムダンク奨学金 公式サイト


2004年夏、まったく新しいクロスメディア型消費者コミュニケーションとして、いまだに伝説的に語られるキャンペーンが実施された。覚えている人も多いだろう。国民的人気バスケ漫画「スラムダンク」の1億冊記念感謝キャンペーンだ。

ウェブ、新聞、オンサイトを繋げ、ユーザー一人一人の参加をベースにしたキャンペーンという点だけでも十分に画期的だったが、それ以上に素晴らしかったのは、作者の井上雄彦氏の読者への感謝の思いが本当に素直に伝わってきたということだろう。

陳腐な言い方になってしまうが、ポイントはやはり「愛」なんだと思う。井上氏のバスケットポールに対する愛や読者に対する愛、そして読者の「スラムダンク」に対する愛。それらがウェブ・非ウェブにかかわらず、様々なメディアの上で奇跡的なかたちで融合したことが、いまだにこれを超えるクロスメディア・キャンペーンが思い浮かばない理由なのではないかと思う。

そして、この「愛」はまだ終わっていなかった。

井上氏の「バスケットボールそのものに対しての感謝の気持ちを形にしたい」という強い思いが、今回奨学金というかたちで実現した。バスケットボールを愛し、その夢を追い続けたいという思いを持つ高校生に対し、アメリカのプレップスクールでの学業及びバスケットボールのプレー機会を提供するのがこの奨学金の趣旨だ。

僕自身、4年間のイギリス留学時代の学費と生活費のほとんどは奨学金のお世話になった。留学1年目こそ自分のなけなしの貯金で賄ったが、2年目以降のお金の用意はまったくできていなかった。2年目以降のあの奨学金がなかったら僕のイギリス留学は間違いなく1年で終わっていた(ということは、いまのこの仕事にも就けていないわけだ)。だからこそ、僕も奨学金の有り難さ、大切さ、そしてそれに対する感謝は人並み以上に感じている。

この「スラムダンク」という作品は、作者と読者の双方が互いを支え合いながら、またその支え合いがいかに大切で素晴らしいものかということを双方がよく理解しているという、非常に希有な作品であろう。漫画・アニメというかたちを通じたコミュニケーションが、ここまで多くの人に支えられ、そしてまた多くの人を支えてきている事実は、まさに「愛の奇跡」としか言い様がない。

そしていま、再び作者から一つのボールが投げられた。今度はバスケットボールというスポーツに対して。そして、バスケットボールを愛する若者の未来に対して。誰がこのボールを受け取るのだろう。本当に楽しみである。

P.S.
この「スラムダンク奨学金」のサイトのトップページにあるボール、ぜひ触ってみてください。うまくドラッグすれば速いパスも投げられます。このボールが弾む音を聞きながら、遠い昔バスケ少年だった僕も一人コートでシュート練習していた淡い青春時代を少し思い出しました(笑)。

Posted by MK @ 01:58 PM
Category : E-biz news
Permalink | Comments (0)


© Masao Kakihara 2003-2007
All rights reserved.