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July 05, 2007
『外海へ出る国産ネットサービス:Fastladder』
日本のネットサービスビジネスにおいて、小さそうに見えるが実はとても大きな一歩だと思うニュース。約14万人のユーザーを持つ国内最大級のRSSリーダー(フィードリーダー)である「livedoor Reader」を英語化し、グローバル展開を目指すサービス「Fastladder」が7/3に発表になった。 「livedoor Reader」は後発ながらサービスインから8ヶ月で10万人のユーザーを集めたWeb型RSSリーダーで、Ajaxをフル活用した小気味良いユーザビリティが高い評価を得ていた。僕はRSSリーダーは使い始めからずっと「はてなRSSリーダー」を利用しているのだけど、「livedoor Reader」の高い評価を横目に見ながら、乗り換えようかどうしようかとずっと考えていた。だけれど、単に移行が面倒くさくてそのまま「はてなRSSリーダー」を使い続けてきた。 そして今回、「Fastladder」が発表され、いろいろ刺激を受けたので、思い切って使ってみることにした。 しかし、思い切る必要などまったく無く、あっけなく移行は済んでしまった。知らなかったのだけど、今はOPML (Outline Processor Markup Language)という規格があって、RSSリーダーの登録先を簡単に別サービスに移せるのだった。とうわけで、「はてなRSSリーダー」から「Fastladder」への移行は、1分もかからず(誇張無し)終わってしまった。 そしてさっそく「Fastladder」を使ってみたのだが、動きが速いのなんのっ!! 軽快な操作性で、大量の記事もサクサクとどんどん読み進められる。ビギナーからギークまで高い評価を幅広く得ているのも納得である。 僕がフィードを受け取っているサイトは30程度なのだが、それでも毎日数百の記事が入ってくる。いままで「はてなRSSリーダー」で見ていたのだが、全部処理をするのに結構時間がかかっていた。ということに、「Fastladder」を使ってみて初めて気がついた次第である。 「livedoor Reader」そしてこの「Fastladder」の開発の中心人物であるma.la氏がプレス発表の際に「できの悪い物を使っているとその程度のライフスタイル・使い方に縛られてしまう」と言っている。まさにその通りだろう。いや、「はてなRSSリーダー」のできが悪いと言いたいのではない。そんなことではなく、この「Fastladder(livedoor Reader)」のユーザービリティが良過ぎるのだ。「livedoor Reader」に関しては前から知っていたのに億劫がってそのまま放置してきたおかげで、随分と時間を浪費してきたに違いない。 この情報氾濫社会のなかで、情報処理の効率性は、アウトプットの生産性(量・質ともに)に大きな影響を与える。ウェブで毎日大量の情報(特にニュース情報)を得て恒常的に処理する必要がある人にとって、RSSリーダーはまさに画期的なソフトウェアだと思う。しかし、その普及は、ウェブ利用者の14%という調査もあり、まだまだといった状態である。 なので、RSSリーダーを使っているだけでも、ウェブ利用者としてはかなりデキる部類なのだろうが、そのRSSリーダーのなかでも、ものによってこれ程までに操作性・処理効率に差が出てくるわけである。つまり、情報処理の効率性に無頓着な人と意識的な人との間には、とてつもない差が生まれている可能性がある。僕自身、今回「Fastladder」を使ってみて、そんなことに愕然としたわけである。 さらに、この「Fastladder」の注目すべき点は、言うまでもなく国産のネットサービスが英語化されて、世界市場を狙うということである。 日本のIT産業、そしてネット業界はますます「ガラパゴス諸島化」してきていると言われている(参考記事(1)(2)(3))。この現象は、アメリカに次ぐGDP規模の巨大経済が、日本語という特殊な言語によって囲われて存在することで、この内側で相当な規模のビジネスが成立してしまうことに起因すると思われる。 この「国内だけでビジネスとして成立してしまう」という状況は、商品・サービスを開発する企業の立場に立ってみると、わざわざ苦労して英語ベースでの商品・サービス開発をするインセンティブが極めて低いという状況を生み出す。そして、この「ガラパゴス諸島化」現象はますます進んでいく・・・。 この状況は、中長期的には日本のIT/ネット業界のイノベーションを停滞させてしまいかねない。特に、ネットサービスの領域は、ユーザーからの評価を開発にフィードバックさせるサイクルを高速化し、サービスの質を急速に向上・進化させていく手法がよく採られるわけだが、この評価サイクルを回すユーザーのボリュームが、結局はその開発効率やイノベーションの度合いを大きく左右する。そうなると、英語圏の膨大なユーザー層相手に試行錯誤を続けたネットサービスと、日本国内だけで試行錯誤してきたネットサービスでは、そのイノベーションの速度に大きな違いが生まれるのは火を見るよりも明らかだ。 そうした懸念はネットサービス開発に携わる人であれば誰しも持っていると思うが、結局は作業労力の問題から、英語版の開発はどんどん後回しにされてしまい、別の新しい日本語サービスの開発に人もお金も回されることになる。 そんななか、今回の「Fastladder」は、国内でも極めて高い評価を得ているRSSリーダーを素早く英語化し、世界市場に向けてその真価を問う挑戦をした。そのことの意義はいくら高く評価してもし過ぎるということはないと思っている。 上の記事のなかで紹介されている開発者ma.la氏のさまざまなコメントは、非常に挑戦的であると同時に、極めて含蓄深いものがある。ぜひ読んでもらいたい。 言葉の壁。確かに低くはない。けど、死に気にならなくては超えられないほど高いものでもない。その壁を超えた先、いつもの慣れ親しんだ内海の外には、無限の可能性を秘めている大海原が待っている。 たしかに、その外海には内海にはない試練もたくさん待ち構えているだろう。けど、乗り越えられなければ、また内海に戻ってくれば良いではないか。人も、ネットサービスも、そんな気がしてならないわけである。なんかそんなことまで考えされた「Fastladder」の登場であった。 まあ、そんなこと抜きにしても、このRSSリーダー。本当に使いやすい。他のRSSリーダーをお使いの人は、ぜひ一度この「Fastladder」を使ってみてはいかがだろうか(Livedoorの回し者ではないけど)。もし使いにくいようであれば、また元のサービスに戻れば良いのだから。そんな試行錯誤をしなかった自戒も込めて。 Posted by MK @ 01:48 PMCategory : E-biz news Permalink | Comments (5) |
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